2012年3月15日木曜日

第二の人生はゲームらしいです~ - 裏切り、裏技、不戦勝が私の三原則!!

sideother

「え、え~と、帰って良いですか(涙)」

「却下です」

ルナの泣き言は一刀両断された。

しかし、ルナと同じ立場に立った者ならば同じことを思うだろう。
なにせ状況が状況だ。

「…星さんの能力って、平行世界の移動ですよね~?
てっきり私はちょっと過去をやり直せたり、少~し未来が見えるくらいの能力だと思ってました~」

しかし、星の力はその遥か上を行っていた。
それはルナの前にいる八人の星(・・・・)の姿が証明している。

「まさか、他の平行世界の自分を呼び出すことができるとは~。
絶対に能力制限を破ってますよね~?」

そう、星の奥の手とはこれだった。
平行世界に存在する自分をこの世界に呼び出す。
しかも全員が元の星と全く同じ実力なのだ。いきなり敵の戦力が八倍になれば卑怯だと思うだろう。

「これが私の全力、『パラレルシアター』。
主演は私、脚本も脇役も観客も私の殺戮劇です。もちろん最後はバッドエンドですが」

瞬間、八人の星の姿が掻き消えた。
四方八方に散った星は、一人一人が数十発の砲撃を放ってくる。
その合計は数百発に相当する。全方位からの()の攻撃だ。

「どないせぇっちゅ~ねん!!」

『Ride Impulse』

ルナも負けじと加速による回避を試みるが、流石に分が悪い。
数発の砲撃を受けてビルに叩きつけられる。

たかが数発だが、一発一発が並みの魔導師を一撃で墜とす必殺の魔法だ。
流石のルナも限界ギリギリである。

「…これで能力のレベルが落ちないなんて絶対に変です~。
何かリスクか制限があるはずなんですが~」

星の能力を完全に解析したルナだからこそ言える。
あれは普通じゃない。絶対に何かカラクリがある。

『マスター、彼女の魔法を使用してみてはいかがでしょう?
少なくとも撤退くらいはできるのでは?』

「無理です~。さっき試しに使いましたけど、三秒先の未来予知が限界でした~。
世界間の移動なんて夢物語です~」

そもそも、星とルナでは体質からして違うと言う。
人間が魚の体の構造を理解してもエラ呼吸ができないのと一緒だ。
完全なコピーというのが不可能らしい。


テコンドーを行う方法の無料コピーは、フォーム1を行う

「でも、あの魔法の弱点は見つけました~。
所詮は未来の自分の知識しか手に入らないんですよ~。
五秒後の自分が知らないことはわからないんです~」

『?』

「あはは、わかりにくかったですか~?
つまり、気がついたら(・・・・・・)死んでいた(・・・・・)って状態にすれば良いんですよ~」

しかし、それでは確実とは言いがたいですね~。
特典に頼りすぎていて危険です。

…あっ、そうだ。
よく考えれば、わざわざ彼女と戦う必要なんてないじゃないですか。
彼女の、最っ高の足手まといを使えば…。

『…フェイト、聞こえます~?』

sideout

side星

彼女を砲撃で吹き飛ばしたのは良いのですが、砲撃の数が多すぎて見失ってしまいました。
この辺りは要改良ですね。

「…………グッ、ゲホッ!」

すると突然苦しくなり、咳き込んでしまいました。
口に手を当てると、その手には少量ですが血が付着しています。

「魔法を数分維持しただけでこれですか…」

この『世界移動魔法』は絶大な力を得ることができます。
その代償として身体に相当の負担がかかり、ここまで大規模な魔法をこのまま使えば数年は戦えなくなるでしょう。

「…関係ないですね。
ここで彼女を倒せばそれで終わりです」

そして彼女の捜索に戻ろうとしました。
しかし、

「…ッ!?
これは、魔力反応ですか?」

五秒後に莫大な魔力が一つのビルから溢れるのを察知しました。
それは、

「あそこですか」

瞬間、全員の集中砲火がそのビルを襲います。
一瞬にしてビルは周囲のビルごと吹き飛び、跡にはクレーターしか残っていません。

「…なかなかの強敵でしたが、最期はあっけなかったですね。
ともかく、これで他の転生者を打倒するという目的は終了です」

亮とは別に戦う必要はないと神に言われています。
つまり、これで私は自由になったということです。
私は未来視をやめて、ようやく戦闘態勢を解きました。
周囲にいた平行世界の私も消えていきます。

「亮には悪いですが、これで―――――」

【はいは~い、それでは一方的な脅迫を開始しま~す!】

「――――なっ!?」


ボーリングブラケットを実行する方法

突然聞こえてきた念話に、私は耳を疑いました。
彼女は確実に殺したはず!?それなのに、どうして…!?
未来視を再び使い、私は攻撃に備えました。

しかし、もう先程までのように戦うことはできません。
思った以上に『パラレルシアター』は身体に負担をかけていたようです。
身体が重い…。

「お~お~、星さん、お疲れのようですね~?」

【残念、さっきのは私の人形です~。
私はコッソリ脱出してたんですよね~】

すると、目の前に彼女が現れました。
フェイトとその使い魔も一緒です。

気絶したなのはを連れて。

「なのは!?」

「動いたら殺す」

ルナと一緒に現れたフェイトが、なのはの首元に魔力刃を押し付けます。
それだけで私は動けなくなりました。

「…どうして!?
なのはがあなたに大敗するなんて…!」

原作と違う!
それにユーノもいたはずです。
それで私に助けを求める間もなくやられるなんてことが…!

それにどうして彼女がルナと一緒にいるのです!
まさか、初めからグルだった?

「確かにこの子は強かった。
でも、私の方が強かった。ただそれだけだよ」

「アタシたちを舐めんじゃないよ!」

そんな馬鹿な…!?
彼女たちの強さが原作と違う!?

「ふふふ、私の生徒は優秀でしょ~?
飲み込みも早くて、教える側としても楽しかったです~」

そこでようやく私は理解しました。
フェイトを裏から操っていたのはプレシア=テスタロッサではなくルナであるということを。

「それで、肝心の脅迫ですが~。
とりあえずは持っているジュエルシードを全部いただけます~?」

【もちろんこれは建前ですよ~?
本当の要求は、この戦いからの脱落です~】

会話をしながらルナは念話で話しかけてきました。
くっ、卑怯な…!

今、私は全力で未来をシュミレーションしています。
砲撃の雨、背後からの強襲、他にも数パターン。
しかし、どれをやってもルナがなのはの首を刎ねてから吹き飛ぶという光景にしかなりません。

何か、何か手は…!

「返答はどうですか~?」

【無駄ですよ~。
私は0,1秒あれば高町さんの首を刎ねられます~】

その言葉に私は絶望しました。
それ以上速くなんて、どうやっても間に合いません。


ウィットにスケートボードを粉砕する方法

「…わかりました。
私が持つジュエルシードをお渡しします」

【だから、どうか見逃してください…!
お願いです…!】

「そうですか~。でも、それって本当ですか~?
渡すふりをして不意打ち~とかしそうです~」

【わかってないですね~。
正直、私にはもう勝利する方法なんてないんです~。
だから本当は高町さんを道連れに爆死する気だったんですよ~?
せめて今後に響く最期が良いな~って】

その言葉に私は戦慄します。
なのはを道連れに爆死?そんなこと…!

【絶対にやらせません!】

【でしょう~?
ですから、あなたの為を思って、諦めていた勝負にわざわざ勝ってあげよう(・・・・・・・)と思ったんです~。
あぁ~、本当はもう勝ちなんて諦めていたんですけどね~?
第二の人生もこれまでか~、残念だな~、って思っていたんですよ~?】

こいつ…!

【ほらほら~、早く私に負けを証明してくださいよ~。
そうすれば諦めていた勝利を私が手に入れる代わりにあなたの大切な(・・・)家族を返して差し上げますから~】

…………………。

「…お願いします。
もう私の負けです…!ですから、なのはを返してください…!」

私はできる限りの気持ちを込めて、彼女に頼みました。
頭を下げる以外にできることなんて私にはありません。

悔しい…!
こんな卑怯な手で敗北することになるなんて…!

しかし、

「頭を下げるくらいなら誰にだってできます~」

【脱落が許されるのは、心の底から敗北を認めた時だけですよ~?
まだ諦めていないみたいですね~】

「…そんな!?」

【では、私はどうすれば良いのですか…?】

もう、これ以上の敗北の証など…。
しかしルナは簡単だと言いました。

「【跪いて私の靴を舐めていただけます~?】」

sideout

side亮

俺が戻ってきた時、全ては終わっていた。
結界は既に残っておらず、街は喧騒を取り戻していた。

【星、なのは、ユーノ!
返事しろ!無事か!?】

必死で三人を探し回ると、とあるビルの屋上で気絶している三人を見つけた。
どうやらルナに敗北したらしい。
見た感じ、三人とも怪我はないようだが…。


「おい、おい三人とも!起きろ!」

すると、星が一番に目を覚ました。

「星、大丈夫か!?」

「…はい、大丈夫です」

星は軽く自分の身体を確かめた。
どうやら本当に大丈夫らしい。

そして、俺はさっそく星に状況を聞こうとした。
特典を使っても倒せなかったのか、と。

しかし、

「星、お前とく――――――――ッ!?」

話せなかった。
特典という単語がどうやっても。

喉から声が出ない。
必死に声を出そうとするが、全く『特典』から先を話せない。

(どういうことだよ、これは!?)

すると、星の足元にメモ帳の切れ端を見つけた。
そこにはメッセージが書かれている。
宛先は俺、差出人は…、

「…ルナ!?」

それを拾い上げ、急いで目を通す。
そこにはこう書かれていた。

『ストーカーさんへ

星さんは脱落しました~(^O^)/
いや~、これで残りはあなた一人ですね~(笑)
ザマミロ~www

ルナより』

星が脱落した。
その事実を俺は信じることができなかった。

しかし、認めるしかなかった。
転生者についての情報、つまり特典について話せなかったのだ。
つまり、星はもうこの世界の人間だ。
前世の記憶なんて欠片も残っていない。

もう、俺の真の味方は誰もいなかった。

sideout



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